お茶は飲むマスク カテキンの感染予防効果
まだまだ、コロナウイルスの影響が続き、第2波がやってくるのではないかと言われているこの頃です。毎日、マスクをして消毒に励み、在宅勤務などが増加してウイルスから身を守ろうと日常が一変してしまっています。
しかし、外部からウイルスを防ぐことは多くの人がやっていますが、体の内部から守ることはあまりやっていないかと思います。ウイルス予防で話題のエピガロカテキンガレート(EGCG)やエピガロカテキン(EGC)はお茶にしかない下記の特有の成分で論文にもある通り、ウイルスの感染予防、殺菌に効果があります。
マスクなどする生活が当たり前になったニューノーマルにお茶を飲みという習慣を加えることで中と外のダブルでウイルスから身を守りましょう。
感染から身を守る仕組み
緑茶にはインフルエンザの原因となるウイルスや小児の風邪の原因となるウイルスに直接作用して、これらのウイルスの感染を無力化する成分が含まれています。茶カテキンはその代表です。インフルエンザウイルスは、ウイルス粒子の表面からスパイク状に突き出した2種類のタンパク質を利用して喉や鼻腔の細胞に感染します。茶カテキンは、スパイクタンパク質に直接作用して、その働きを抑えることでインフルエンザウイルスの感染を防ぎます。茶カテキンの中でも特にエピガロカテキンガレート(EGCG)が強い作用を示すことが明らかになっています。また、茶カテキンとは異なりますが、乾燥茶葉中に0.5%程度含まれているストリクチニンと呼ばれる成分も、インフルエンザウイルスや小児の風邪の原因となるウイルスの感染を強力に抑えることが明らかになってきました。ストリクチニンの作用は茶カテキンとは異なっていて、ウイルス膜と細胞膜が結合するのを邪魔することによって、ウイルスの感染を防ぐと考えられます。
インフルエンザウイルスの感染におけるストリクチニンとEGCGの主な作用メカニズム(静岡県立大学薬学部教授 鈴木 隆)

ウイルスの予防対策
茶カテキンは、インフルエンザウイルスの表面にある突起(スパイク)に結合し、宿主細胞表面へのウイルスの吸着を阻害して感染を防ぎます。この効果は、インフルエンザウイルスの型にはよらないといわれています。
茶カテキンのうがいによるインフルエンザ予防効果を調べるために、特別養護老人ホームの入所者を対象とした臨床研究が行なわれました。緑茶カテキン抽出物(総カテキン濃度200μg/mL、市販されている通常の緑茶ペットボトル飲料の約半分の濃度)で1日3回、3ヶ月間うがいをした結果、水のうがいと比べて、インフルエンザの発症が減少したことがわかりました。
社団法人静岡県茶業会議所「知らなきゃソンするお茶のこと 10のひみつ お茶の効用を科学する

緑茶の飲用によるインフルエンザ予防効果
緑茶にはカテキン以外にも、テアニン、ビタミンCといった感染に対する免疫力を高める成分が含まれていますので、緑茶の飲用によるインフルエンザ予防効果も十分期待されます。実際、静岡県茶産地の菊川市の全小学校児童を対象とした疫学調査では、1日1~5杯の緑茶を飲む習慣をもつ児童は、1日1杯以下の場合と比べてインフルエンザの発症が少ないことがわかりました。
(静岡県立大学薬学部教授 山田 浩)
カテキンが多いお茶とは?
カテキンは茶葉が太陽を浴びることで生成させる成分であるため、覆いをする玉露や抹茶、かぶせ茶では少なく、旨味よりもさわやかさを求めるような中級煎茶や番茶など、春のお茶よりも2番茶、3番茶の方が多く抽出できます。カテキンを重視するなら安めのお茶に含有量が多いことがわかります。
さらに、発酵をしてしまうと失われてしまうため、烏龍茶や紅茶は少なくなっています。
エピガロカテキンガレート(%) | エピガロカテキン(%) | エピカテキンガレート(%) | エピカテキン(%) | |
玉露 | 6.65 | 1.68 | 1.35 | 0.36 |
上級煎茶 | 8.16 | 2.77 | 2.47 | 0.74 |
中級煎茶 | 7.53 | 3.36 | 1.76 | 0.91 |
釜炒り茶 | 10.85 | 3.77 | 2.68 | 0.86 |
番茶 | 5.58 | 3.28 | 2.4 | 1.07 |
ほうじ茶 | 5 | 1.36 | 1.56 | 0.4 |
烏龍茶 | 3.6 | 1.01 | 1.16 | 0.33 |
紅茶 | 0.6 | – | 0.42 | – |
カテキンの抽出方法
各カテキンは温度で抽出しやすさが異なっています。
エピガロカテキンは低温でも長時間置くことで抽出できるため、水出しで長時間抽出ができますが、エピガロカテキンガレートは低温ではあまり抽出されません。各カテキンを効率良く摂取するためには、70〜80℃程度がおすすめです。それは、エピガロカテキンガレート82℃以上で加熱による構造変化が起きてしまうため、しっかりと湯冷ましをしてください。
健康のためやウイルス予防ためのお茶を淹れるためにはあまり高級なお茶ではなく、70〜80℃のお湯でゆっくりと時間をかけ、お茶を挿れます。茶葉の量や抽出時間に関してはお茶の種類によって異なりますが、茶葉多め、抽出時間長め(2分以上)にすると効率良くカテキンを抽出することができます。
ただ、カテキンは苦味成分でもあるのであまり濃くすると飲みにくくなりますのでご注意ください。
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