主なお茶の産地
日本中で生産されているお茶
皆さんが普段何気なく口にするお茶。そのお茶は日本のどこの地で栽培されたお茶でしょうか?このコラムを読んでいる方でしたらきっと、お気に入りの銘柄などあるかと思います。
日本は昔、藩制が布かれていた時代、茶は藩にとって貴重な農作物として北海道をはじめ全国的に広く栽培されていました。しかし、現在では秋田県、岩手県、宮城県など東北地方で僅かに栽培されているものの、新潟県村上市(村上茶)と茨城県太子町(奥久慈茶)を結んだ線の付近が概ねチャ(ここでのチャは植物としてのチャ)の経済的栽培地の北限とされて、それより西の地域でチャの栽培が行われています。また、お茶の木は寒さに弱いため比較的温暖で適度な降水量がある地で生産されています。
では、いったいどのくらいの量のお茶がどの地で生産されているのでしょうか?
日本の主なお茶の生産地
農林水産省発表の『令和元年産茶の摘採面積、生葉収穫量及び荒茶生産量(主産県)』によると、令和元年産荒茶生産量は全体で7万6,500tでした。そのうちの38%が静岡県産で2万9500t、次いで鹿児島県、三重県、宮崎県の順でした。
ちなみに荒茶とは、茶葉(生葉)を蒸す工程、揉む工程、乾燥する工程など、産地の製茶工場で生葉が加工された1次産品の茶で、荒茶生産量とはその加工品の重量をいいます。

上記の表のとおり、日本の三大生産地とは、静岡県・鹿児島県・三重県のことをいいます。それぞれの産地別の特徴について簡単にまとめました。
日本の三大産地とそのお茶の特徴
≪静岡県(静岡茶)≫
静岡県は、全国の茶園面積、収穫量の約40%を占め言わずと知れた日本一の茶どころです。
県中央部に牧之原台地・富士山麓・磐田原、安倍川・大井川・天竜川流域の山間部などをはじめ20を超えるお茶の産地があります。そして、各地の自然環境を活かした香味に特徴のある茶が生産されています。やぶきた茶など煎茶が主で、特に深蒸し煎茶の主産地ですが、藤枝市岡部町は玉露の産地として知られています。
≪鹿児島県(鹿児島茶)≫
静岡県に次いで茶の生産量が全国第2位であり、知覧茶、溝辺茶などの銘柄で有名です。日本一早い新茶の産地で鹿児島本土では4月上旬より茶摘みが始まります。鹿児島のお茶は南国の強い太陽を浴び、味にコクがあり、濃厚な旨みがあります。また、平坦な茶園が多く大型機械化栽培も進められています。
≪三重県(伊勢茶)≫
静岡県、鹿児島県に次いで茶の生産量が全国第3位。銘柄では伊勢茶が有名で、鈴鹿山系の北勢地方はかぶせ茶が多く、宮川流域の南勢地方は深蒸し茶の主産地となっています。
日本茶の三大銘柄「日本三銘茶」
三銘茶は、静岡県の「静岡茶」、京都府の「宇治茶」、埼玉県の「狭山茶」の3つのお茶のことです。
ただし、狭山茶は生産量が少ないため、狭山茶の代わりに生産量が全国第2位の鹿児島県の「知覧茶(かごしま茶)」を三銘茶に加えることもあります。
≪京都府(宇治茶)≫
京都は明恵上人が栄西から贈られた宋のチャの種を栂尾と宇治の地に植えたことに始まる歴史的産地です。宇治田原町や和束町等は玉露、碾茶などの高級茶の産地で、いずれも生産高全国一位を誇っています。また、仕上げ加工技術が高く国内における高品位のお茶の産地として有名です。
≪埼玉県(狭山茶)≫
関東エリアの銘茶の産地として知られる埼玉県の狭山地方、狭山丘陵の周辺に広がる武蔵野台地が中心的な産地で、狭山火入れと言われる独特の火入れが特徴です。渋味の中にも甘味の強い爽やかなお茶で知られています。
まだまだたくさんの銘柄があります
日本茶三大産地のお茶や日本三銘茶について書きました。ひとことで日本茶といってもいろんな産地や銘柄があり、味や香りなど様々です。それぞれの産地・銘柄ごとに飲み比べなどをしてもおもしろいですし、多くのお茶に触れ、自分好みの銘柄に新たに出会えるかもしれませんね。
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