お茶に合う水とは?

お茶にとってお水は重要な存在です。お茶は水によって驚くほど味が変わることをご存じですか?
例えば、煎茶では、浸出液の99%以上が水です。遠い昔から、使う水の選び方についての重要性が文章で述べられていたほど、お茶にとって水は大切な要素なのです。

日本の水道法について

飲用水水質基準(水道質基準)は、水道法第4条において規定される水道水が備えるべき水質上の要件のことで、ヒトの健康に対して悪影響を生じないことや、飲用及び日常生活での使用に支障をきたさないことが求められています。具体的な要件は、「水質基準に関する省令」で規定されていて、全51項目の基準が定められています。

また、㏗(ペーハー)、鉄、カルシウム、マグネシウム(硬度)、塩素はお茶の水色や香味に影響することが解明されていますが、味覚は人によって感じ方が異なるため「おいしい水」を一概に決めることはできないとされています。

では、実際、お茶に適したお水とはどういうお水なのでしょうか?
昭和60年に厚生労働省が設置した『おいしい水研究会』の水の専門家が示した美味しい水の条件は「ミネラル、硬度、炭酸ガス、酸素を適度に含んだ冷たい水」としているように、昔からお茶に合う水は軟水だといわれてきました。水の硬度とは、水中のマグネシウムとカルシウムの量に対応する炭酸カルシウム、または酸化カルシウムで表した数字です。水1リットル中に炭酸カルシウムが1ミリグラムあるものを硬度1とします。日本では、硬度100未満のものを軟水、100以上を硬水と呼んでいます。

水の硬度はお茶の香り、水色、滋味に影響を与えることがあります。軟水でお茶を入れると、茶の成分がよく抽出され、旨味、渋味、苦味がバランスよく出て、日本茶本来のうまみを引き出せますが、硬度が低すぎる(10以下)と、苦みや渋味を強く感じ、日本茶には適さなくなります。日本茶には硬度30~80程度の水が合うとされています。

沸騰させることの利点

 水は沸騰させることにより、美味しい水に近づいていきます。
 日本の水道水は、衛生面から、蛇口での残留塩素濃度を0.1m/ℓ以上保持するように水道法によって定められていますが、味やにおいの観点から、上限を1mg/ℓ以下に抑えるという水質管理目標値も示されています。夏期などは特に塩素が過剰に添加される傾向があり、塩素はカルキ臭の原因の一つとなり、水のおいしさを損なう大きな要因となっています。水道水は沸騰で残留塩素が減少することから、水道水の使用には、沸騰は欠かせない条件となるのです。

煮沸のポイント

 中国の茶書『大観茶論』の「水」の項で、沸騰の様子を《「魚の目」、「蟹の目」のような連続で飛び跳ねてくる泡が出てくるようになったらよろしい》と述べ、湯の面に出現する泡の状態を表しています。
 湯沸かしで、水の温度を上げていくと、水に溶け込んでいる空気や炭酸ガスが抜けていきます。煎茶のような爽快感を求める茶種には、炭酸ガスはある程度あった方がよいため、沸かしすぎはよくありません。
 沸騰したら、ヤカンの蓋を少しずらし、5分程度沸騰状態を続けてカルキ臭を抜くと共に、溶存空気を放出させることをおすすめします。

美味しくお茶を飲むためにも、お茶のことだけでなく、お水のことを知ることも重要ですね。また、浄水器のお水を使用する際にも必ず沸騰させた後の水を使うのをおすすめします。

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